前社長と共に事業の立て直しを図る社長は「借金があると知っていれば継いでいなかった」と言われています。
1億円を超える負債を抱え、7000万円の債務超過の企業を継いだ社長が為すべきことは、利益体質を改善し、経営を立て直す事です。
長い間、赤字が続いた企業の固定費は限界まで削減されており、粗利益を高めることが唯一、利益を残す方法でした。
社長は既存の取引が減少する中で、利益を上げるために自社のオリジナル商品を売上の柱へと成長させることと既存の加工請負の単価を引き上げることを自らの仕事としました。
来る仕事を言われた金額で請負うことが常識とされていた業界で、価格交渉を行った取引先の一部からは感情的な反応があり、社長はこの時のことを「社長に就任して間もないころ、一回り以上年上を相手にして、毎日お腹が痛かった」と振り返ります。
企業の財務が毀損しているにも関わらず、何も対策を打てなかったのは、現状把握、問題の抽出が行えなかったからです。
毎月の利益がいくらなのか見えないままどんぶり勘定で経営で財務を毀損しているにも関わらず、
長年に渡り企業の顧問を務めた税理士からはアドバイスもらうことはなかったそうです。
財務知識を持たず経営を行う職人のような経営者が多いことが、約7割の企業が赤字申告であることの要因の一つであると考えられます。
企業の財務は事業承継に相関します。
財務知識と正しい考え方を持つことを、企業価値を高め、継続するために経営者には求められます。